イラン タッシェキリム
サイズ:97×113cm 素材:ウール 原産地:イラン南部 年代:約80-90年前
痛みはすべてきれいに修復されています。7枚目の写真の白の部分は修復箇所です。
すべてウールを使用しているので、重みはあまりありません。壁に掛けるタペストリーとして最適です。
タッシェは古いペルシャ語で袋を意味します。ドイツ語にも同じ言葉があり語源は同じと云われています。
タッシェはイラン中央部のチャハールマハール高原に住むバクチアリー族の農民が麦、大麦を運ぶ袋として使っていました。およそ100x130cmの頑丈なキリムを袋状に縫い合せたものです。タッシェは必ずペアで作られましたが20世紀中頃にはプラスチックの袋にかわられ姿を消しました。
タッシェの特徴はボデイに描かれた塩袋と同じ形をした文様です。この文様はタッシェが荷物で十分膨らんだ時によく見えるように配置されています。全体は平織りですがこの文様だけが絨毯結びで織られています。文様にはバクチアリー.ギャベ絨毯の文様の影響が強くみられます。
この文様の生立ちについてはいくつかの説明がなされていますが、定まったものはありません。
Bread and Salt説 : イスラムの世界、特にイラン人は小麦(パン)と塩は神から授かった神聖な食べ物でありイラン正月にはナンと塩をソフレに飾り正月を祝う。
ミフラブ説 :モスクの壁がんを模したミフラブと同じ形をしており、バルーチ族の礼拝用絨毯に同じ形が見られる。
ハトの巣説 :この地方には古くから大きな円筒の上に小さい円筒をのせた塔状のハトの巣が土煉瓦で作られている。壁面に数百の穴が開いておりハトが巣を作り、塔の内側に糞をする。農民は糞を集めて肥料に使う。この塔を横から見た形である。
文様の古いタッシェは壁掛けとして、また敷物、ソファ-などの掛け布とししてもユニークな存在です。