気持ちの良い春が近づいてきました。暑くなる前に衣替えをしなくてはと思う方も多いと思います。少しおっくうに感じますが、大切なセーターやコートなどが虫に食べられてしまうかもしれません。
アンダイドプラスのラグも天然のウールを使っているので、虫にはごちそうです。
ウールのラグは通気性が良いので、年中お使いいただけますが、虫に食われないための通常のお手入れや収納する時についての注意点を書きました。
防虫剤や収納方法、繊維を食べる虫についても調べてみましたので参考までに。
また、おまけに日本の伝統的な収納道具である桐のタンスについても書いてみました。
ラグの通常のお手入れ
ウールのラグは、吸湿性に優れ冬は暖かく、夏は涼しく感じる(空気中の湿気を吸収し、水分が蒸発するときに気化熱を奪うため)のでオールシーズンお使いいただけます。
セーターなど冬の素材というイメージがあるため、夏には向いていないように感じる方も多いかと思いますが、一年中気持ちよくお使いいただけます。
通常、使っている時は、手織りのアンダイドプラスのラグは裏面に生地や接着剤など使用していないので通気性が良く、特に高湿度等で無ければ、虫に食われる心配はありませんが、重い家具の下敷きになっている部分はたまに空気を入れたり、1~2ヵ月に一度程度は裏面も掃除機をかけてください。
ラグの保管方法 ラグの保管時に大切なことは湿気の少ない場所で清潔な状態で保管することです。
長期保存する際は表裏面共に掃除機をかけ、硬く絞った雑巾で水拭きした後、よく乾かし袋に入れ、シワを防ぐためにロール状で保管するのがおすすめです。毛足のある表面を内側にして丸めます。防虫剤を入れる事をお勧めします。防虫剤については下記に書いていますので、お好みに合うものを選んで入れてください。
長い間しまいっぱなしにせず時々広げて風を通したりすることも大切です。その時、虫食いもチェックしてください。
何年も保管するような場合は、保管前にクリーニングに出すことをおすすめします。
収納はなるべく風通しがよく、直射日光があたらない所をえらんでください。押し入れやクローゼットの床に直接置くと湿気が溜まりやすいため、棚の上に置いたり、スノコなどでなるべく通気性を良くしてください。
防虫剤について
市販されている防虫剤に主成分が4種類あります。
パラジクロルベンゼン、ナフタリン、しょうのう、ピレスロイド系の4種類。
防虫剤は、気化し、タンスやクローゼットに充満して防虫効果を発揮します。
ただ、50℃以上の高温になったり、違う種類の防虫剤を一緒に入れると気化せず、液体となって衣服にシミをつけることがあります。一緒に使ってはいけない成分やそれぞれの特徴についてです。
1.パラジクロルベンゼン
防虫剤のなかで最も早く効き目が広がるので、ウールなど虫のつきやすい繊維のものに適しています。ただし、効き目が早い分、効果も早くなくなります。
そして、4つの防虫剤成分のなかで一番臭いの強いのがこのパラジクロロベンゼン製剤です。
ただ、気化するスピードが速いので、臭いも早く飛びます。
ピレスロイド系の防虫剤以外の防虫剤と併用するとプラスチックや塩ビ、樹脂などを変性させてしまう可能性があります。
高濃度になると健康被害の危険性があります。
2.ナフタリン
コールタールの蒸留によって作り出された成分で、こちらも強い臭いがあります。即効性は無いのですが、ゆっくりと効きはじめ効果が長く続きます。効き目が持続し、金属や金箔、銀糸などへのダメージが少ないので、出し入れの少ない雛人形や着物、衣類などの防虫に適しています。パラジクロルベンゼン、しょうのうとの併用はできません。直接肌に触れると炎症をおこすことがあり、誤飲してしまったら健康被害が出るのでお子様のいるご家庭などでは注意が必要です。
3. しょうのう(樟脳)
防虫剤として最も古くから使われている、しょうのう(樟脳)は、クスノキの葉や枝から抽出した天然の防虫剤です。強い防虫効果と消臭効果、そして香りには、リラックス効果もあるといわれています。一般的な防虫剤のニオイが苦手な方でも使いやすく、ニオイがついても空気にさらすとすぐに消えます。着物の防虫剤として使われることが多いですが、全ての衣類に使用でき、植物由来なので、敏感肌の方や子供の洋服の保管にも安心してお使いいただけます。パラジクロルベンゼンとの併用はできません。天然由来成分なので安全と思われがちですが、飲み込んだ場合は有毒です、すぐに病院へ行ってください。
4.ピレスロイド系
除虫菊から抽出された殺虫成分の効能を化学的に強めたものです。
ピレスロイド系は防虫剤特有の臭いがなく、ほかの防虫剤と混ぜて使えます。
健康被害などの問題から改良され続けて出来た安全性の高い防虫剤です。扱いやすく、安全な事から現在ドラッグストアなどで見かける防虫剤の多くはピレスロイド系になっています。
完全に無害ということはなく人によっては軽いアレルギー反応を起こしてしまうこともあります。臭いがないので締め切った部屋で高濃度になったことに気が付かないこともあります。換気には気をつけてください。
【防虫剤選びは悩ましいですが、アンダイドプラスでは自然の作ったしょうのう(樟脳)を選びました】
その中でも佐賀、熊本などの九州産のクスノキのみを使用した「KUSU HANDMADE(クスハンドメイド)」の商品を使用しています。
カンフルオイルとパウダーは、すべて自社生産。同じ楠でも一本一本、特性が異なるため熟練した職人が注力しながら、10日かけてじっくりと丁寧に抽出されています。
何より爽やかで清涼感のあるのクスノキの香り、森の中にいるようです。そしてお気に入りはECO BLOCK。クスノキの端材を再利用し、ひとつ一つ職人が作り出す、防虫ブロックです。香りがなくなってもクスノキのオイルをしみ込ませることで何度でも使い続けられます。
なによりも自然の防虫剤なので、やはり安心して使えることが魅力です。
繊維を食べる虫について
虫食いには気が付いても虫を見つけることはあまりないと思います。
衣類を食べる虫は、甲虫のカツオブシムシと、蛾のイガの幼虫です。
成虫やさなぎは衣類を食べることはありませんが、野外ではツバメや雀などの野鳥の巣に生息していることが多いです。家のそばに鳥の巣がある場合は特に洗濯物への卵の付着に気を付けてください。成虫は屋外に干している洗濯物に集まって産卵します。
生まれた幼虫は5mm程の小ささなので収納してあるセーターなどに付いていても肉眼で発見するのは難しいかもしれません。
幼虫が食べるのは洋服の繊維やホコリです。害虫にとって最もごちそうになるのはウールやシルクなどの動物繊維。綿や麻などの植物性繊維も好んで食べる種類もいます。
食べこぼしや皮脂で汚れていると化学繊維のポリエステルやレーヨンでも虫に食われることがあるので、服をしまう前にきちんと洗っておくことが大切です。 害虫が好むのは、温度15~25℃で湿度が高く、ホコリや繊維の多いところです。
家の中は虫にとってとても居心地がいい環境のようです。
大切な衣類や布を守るためにも防虫剤や収納場所には気を付けましょう。
収納家具・桐のタンスについて
今は、収納といえば、ほとんどの方がプラスチックケースやボックス、作り付けのクローゼットなどを使われていると思います。タンスや引き出しの置き家具でさえ使われる方は減っていると思います。
ましてや、本物の桐のタンスを使われている方は稀でしょう。
私は、一本だけ祖母が使っていた年季の入った桐たんすを譲り受けたのですが、以前借りていたマンションが日当たりが悪く、湿気が多かったらしく、洋服や靴がカビだらけになったことがありました。その時、桐のタンスに入れていた衣類はすべて無事でした。
その時から、桐のタンスには絶大な信頼を寄せています。
桐のタンスは湿度の多い日本の気候に適応した高い機能性を兼ね備えた家具であり、その性能は、今の時代でも変わりません。
桐は、ほかの木材に比べて軽い、熱を通しにくい、水が浸透しにくい、伸縮が少ない(密閉性が高い)といった特徴を持つことはご存じの方は多いかもしれません。
それに加え、桐は防虫性という特徴も持っています。
ほとんど全ての材木は、酸性の性質ですが、桐の木は珍しく、アルカリ性の性質を持ちます。
桐には、アルカリ性のタンニンという物質が含まれていて木の腐敗を抑制します。
また、防虫性・抗菌性としてセサミン、パウロニン、グリメノールを含んでいるため害虫や菌を抑制します。
天然の成分が、防腐・防虫・抗菌効果を持たせているのです。
ただ、防虫性は高いのですが、天然木材のため100%の防虫性ではありません。その為樟脳などの防虫剤を併用される事をおすすめします。
残念ながら、ラグはさすがに桐のタンスには入れられないですが、カシミアのセーターなど、天然素材の大切な洋服や着物などは虫には食われやすいので、桐のタンスに収納すると安心です。
新しい桐のタンスは高額でなかなか手の届きにくい商品ですが、意外と古いものだと安く手に入ることもあります。見た目は少し傷んでいても性能は変わりません。
桐のタンスは、昔の日本人が考えた日本の気候や文化に合った優れた収納家具です。
桐の特性に気が付きタンスにすることを考え出した日本人、この大切な文化がこれからも残っていくことを願います。
2023/3/9
undyed+ 西村敦子著
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